【6月24日 AFP】ラグビー元オーストラリア代表のスター選手で、同性愛者への暴言を繰り返して同国ラグビー協会(Rugby Australia)から解雇されたイズラエル・フォラウ(Israel Folau)が開設したクラウドファンディングページが24日、「差別」と「排斥」の懸念があるとして閉鎖された。

 かつての雇用主であるラグビー協会を訴えようとしているフォラウは、裁判の費用を工面するため300万オーストラリア・ドル(約2億2400万円)の寄付を募り、すでに7000人から70万オーストラリア・ドル(約5200万円)以上を集めていた。

 しかし、21日にクラウドファンディングサイトGoFundMeに開設された同ページにアクセスすると、「申し訳ありませんが、あなたがリンクを入力したキャンペーンは見つかりません」というメッセージが表示された。

 同サイトでオーストラリアの地域マネジャーを務めるニコラ・ブリットン(Nicola Britton)氏は、発表文の中で「きょうわれわれはイズラエル・フォラウのページを閉鎖し、寄付したすべての人に全額返金するつもりだ」と記した。

「定期評価を行った結果、われわれはこのキャンペーンが利用規約に違反しているという結論を下した」

「われわれは一企業として、LGBTIQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス、クィア)の人々の平等をめぐる闘いに全力を尽くしており、そうした問題に参画するための環境づくりを促進している」

「われわれはGoFundMeが市民の多様な議論に関わることを歓迎しているが、差別や排斥の助長は許容しない」

 敬虔(けいけん)なクリスチャンとして知られるフォラウは、ソーシャルメディア上でゲイや自分が罪人とみなす人々には「地獄が待っている」と書き込み、先月協会の審議会で「重大な」行動規範違反を犯したと認定された。

 これを受けてフォラウは、自分の行為は聖書の言葉を引用しただけであるとして、オーストラリアの雇用監視機関である公正労働委員会(FWC)に申し立てを行っている。

 オーストラリアのメディアは、フォラウが世界で最も高い給与を手にしていた選手の一人であり、数百万ドルもの不動産ポートフォリオを所有していることに触れるなど、このクラウドファンディングは批判を呼んでいた。

 寄付用のページが閉鎖される中、ネットボールのオーストラリア代表で最多出場記録を持つ選手が、このクラウドファンディングキャンペーンをインターネット上にリツイートしたにもかかわらず、ニュージーランド代表でフォラウの妻であるマリア・フォラウ(Maria Folau)に制裁を科さなかったことで同競技を批判した。

 オーストラリアのネットボールチーム、アデレード・サンダーバーズ(Adelaide Thunderbirds)に所属するマリアは、ツイッター(Twitter)上で夫のキャンペーンを拡散していた。

 ネットボール・オーストラリア協会(Netball Australia)とサンダーバーズは、同競技内のすべての環境に注意を向けているが、彼女の行為はソーシャルメディア規定に抵触していないという旨の発表文を公開した。

 元オーストラリア代表のキャプテン、リズ・エリス(Liz Ellis)氏は、同協会の姿勢は「十分でない」と述べた。

 エリス氏は23日、「われわれの競技には、同性愛嫌悪の人々が入り込む余地はない」「同性愛嫌悪を支持、承認しているようにみえる人は歓迎されない」とツイッターに投稿した。

「マリア・フォラウのプレーを見るのは好きだが、ネットボールには彼女の夫のような考え方を支持してほしくない」 (c)AFP