【6月24日 AFP】イタリアの対移民強硬派、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相は23日、同国が1週間以上にわたって上陸を拒否し続けている移民42人の運命は、オランダと欧州連合(EU)にかかっていると主張した。

 ドイツの非政府組織(NGO)「シーウオッチ(Sea-Watch)」が所有するオランダ船籍の救助船「シーウオッチ3(Sea-Watch 3)」はリビア沖で12日、ゴムボートに乗った移民53人を救出して以降、地中海にとどまっている。

 シーウオッチの救助船に乗っていた移民のうち、妊娠中の女性2人を含む11人はイタリアへの上陸を許可されたものの、救助船自体は入港を拒否されている。

 しかし乗組員らは、リビア・トリポリの港は安全ではないとして、救出された移民たちを危機的状況にある本国へ帰すのを拒否している。

 サルビーニ氏は23日、オランダ当局へ書簡を送ったことを明らかにし、「自国の旗を掲げている船が11日間も洋上を漂っているのに全く関心を持たないことが信じられない」と述べた。さらに「シーウオッチの救助船に乗っている男女の身に起きていることは全て、相変わらず冷ややかで関与しないオランダとEUに責任がある」と非難した。

 サルビーニ氏によると、シーウオッチはオランダ政府に対し、安全に上陸できる港を提供するよう求めたが、これに対する返答はまだないという。オランダ当局に宛てた書簡ではその点について指摘したという。

 またサルビーニ氏は、船上の状況が悪化した場合は、オランダ当局とシーウオッチの乗組員らの責任になるとも述べた。

 一方、マルタ政府は23日、同国の海軍が地中海で困難に陥っていた移民グループ37人を救出したと発表。移民らは同日中にマルタに到着する予定だと発表した。

 イタリア政府とマルタ政府が他のEU諸国にも強く、平等な移民の受け入れを求めているのに対し、フランスなどは最も近い港に移民を上陸させ、その後、欧州各国に任意で配分されるべきだと主張している。

 2004年以降、リビアから欧州に逃れる途上で1万2000人以上が死亡している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、「世界で最も死亡率の高い海上ルート」だと表現している。(c)AFP