しかし、30人近くの雇用を生み、約40棟の建物を建設し、5万個以上のブロックを売っても、ガザ地区内での事業維持は難しかった。「価格を50%ほどに下げなければなりませんでした」とマシュハラウィさんは言う。「ガザに需要はあるものの、人々の購入資金がないのです。ブロックはサンボックスほどの売り上げは出せませんでした」

 マシュハラウィさんは、サンボックスはより大きな成功を収めると確信している。

■将来は有望

 マシュハラウィさんいわく、サンボックスと同社の事業モデルの将来は有望だ。スペインのあるNGO(希望により名前は非公表)からの受注を受けたため、今年度の収益は40万ドル(約4300万円)と推定され、また2020年から2021年にかけてはヨルダン川西岸(West Bank)や南アフリカの市場開拓により約100万ドル(約1億700万円)の収益を見込んでいる。

 ハイブリッド企業として設立されたサンボックスは、NGOや地元機関から大規模な事業を請け負う「営利目的」事業からの収益の20%を、低所得世帯に向けたシステム導入の助成に充てている。場合によっては、家庭向けシステムの導入費は会社がすべて負担する。

「太陽光システムを設置するだけで変わる家庭をたくさん見てきました。そういった人たちに光、そして希望を与えているのです」とマシュハラウィさんは言う。最も安価なモデルは350ドル(約3万8000円)で、パソコンや携帯電話の充電や、小さい家電製品の利用、1日最大12時間分の照明に必要な電気が得られる。

 マシュハラウィさんは、小規模な企業が人々の人生を変えられると信じている。「人々は見返りを目にして、その企業がしていることを信頼してくれます。NGOでもなく、団体でもなく、財団でもありません。人々に給料を与えることで、人生が変わるのです」

By Ryan Fahey

(c)Middle East Eye 2019/AFPBB News