【6月23日 AFP】ウルグアイの裁判所は、第2次世界大戦(World War II)初期の海戦に参戦したナチス・ドイツ(Nazi)の戦艦に設置されていたブロンズ像について、売却して代金を政府と引き揚げチームで折半しなければならないとの判断を下した。

 アルフレド・エッチェガライ(Alfredo Etchegaray)氏とフェリペ・エッチェガライ(Felipe Etchegaray)氏の兄弟率いる引き揚げチームは1997年、ブロンズ像の捜索許可を申請した。

 引き揚げチームは10年にわたる捜索の末、2006年に首都モンテビデオの沖合でワシのブロンズ像を発見。ウルグアイ海軍と2004年にブロンズ像の売却代金を折半する旨の合意を結んでいたものの、政府側がこの合意を破ったとして提訴していた。

 引き揚げチームは、ブロンズ像を90日以内に売却しなければならないとする今回の判断を歓迎している。

 ブロンズ像は発見以来、海軍の倉庫で保管されていた。オークションに掛けられれば、かなりの高値が付くものとみられている。

 ブロンズ像はワシが翼を広げ、かぎ十字をかぎ爪でつかんだデザインで、ドイツ海軍の誇りだった戦艦「アドミラル・グラーフシュペー(Admiral Graf Spee)」号の艦尾に設置されていた。

 同艦はラプラタ沖海戦(Battle of the River Plate)後の1939年12月17日、ハンス・ラングスドルフ(Hans Langsdorff)艦長の命令で自沈した。

 グラーフシュペーは当時、ドイツ第三帝国(Third Reich)最大規模の軍艦で、英国艦2隻、ニュージーランド艦1隻の追跡を逃れ、モンテビデオの港に一時退避。

 その後、ラングスドルフ艦長はグラーフシュペーを港の外に出し、自沈を命じた。同艦長は策略に掛かり、国際水域で英国の大艦隊が待ち伏せしていると信じたものとみられる。この屈辱から数日後、ラングスドルフ艦長は自ら命を絶った。(c)AFP/Mauricio RABUFFETTI