■脱水症状と過労で死んだ仲間も

 ラフマトゥラーさんは、人材あっせん会社マリティム・サムデラ(Maritim Samudera)に虚偽の労働条件でだまされたとして賠償を求めているインドネシア人40人の一人だ。

 男性たちは警察や政府職員への説明やAFPとのインタビューで、身体的暴力や心理的虐待を受け、食事や水分を十分に与えられなかったと訴えている。ラフマトゥラーさんによると、仲間の船員2人は脱水症状と過労で死亡したという。

 日本近海で漁船に乗っていたというアリアヌス・ジリウ(Arianus Ziliwu)さん(21)は、「食事はひどかった」「寝る場所は、とても人間のためのものとは思えなかった」と語った。

 AFPに提供された携帯電話の動画や画像には、薄汚い貨物室でマットレスも敷かずに眠っている男性たちが映っていた。

 それまで漁船で働いたことはなかったというラフマトゥラーさんは「抵抗できなかった。村育ちで、どうしたらいいか分からなかった」と語った。どちらのグループも、携帯電話の電波が入った一瞬を利用してSOSのメッセージを送り、救出された。