【6月21日 AFP】(更新、写真追加)香港では21日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の完全撤回と親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官の辞任を求め、数千人のデモ隊が幹線道路を埋め尽くした。

 数百万人が参加したとされる先日の抗議デモが突き付けた要求に対し、行政府側の対応は不十分だと人々は受け止めており、目立った指導者のいない改正案反対運動は今や、林鄭氏の行政そのものへの広範な抗議行動に発展している。

 21日朝、立法会(議会)前で「ピクニック」をやろうとの学生団体などの呼び掛けに応じた人々は、一連のデモのシンボルカラーとなった黒い服に身を包み、通勤ラッシュが始まる前に行政府の本部庁舎前に続々と集結。抗議のスローガンを叫びながら庁舎前の幹線道路、ハーコート通り(Harcourt Road)になだれ込み、路上を占拠した。

 その後、デモ隊は警察本部へと行進し、建物を包囲。先日のデモでの警察の暴力的な対応を非難し、逮捕された人々の解放を要求した。デモ隊側は、警察の暴力行為をめぐる調査の実施も求めている。

 デモ参加者の多くはマスク姿で、警官隊に発砲しないよう呼び掛けるプラカードを手にした人の姿も見られる。道路に座り込んだ人々は、傘をさしたり、水を浴びたり、陸橋の下の日陰に入ったりして暑さをしのいでいる。

「心身ともクタクタだけれど、これしか方法はない。香港人として声を上げないわけにはいかない」と、参加者の男子学生(21)は語った。別の参加者(28)も「こんな、まやかしの対応を、私たち市民は受け入れない。デモに参加して、(香港)政府にそう言ってやらなきゃいけないと思った」とAFPに語った。

 デモの呼び掛け人らは、一般車両や公共交通機関の徐行運転、市内各地での集会など、さまざまな抗議行動を展開するよう訴えている。(c)AFP/Elaine YU, Qasim NAUMAN