【6月20日AFP】中国・上海の水族館で飼育されていたシロイルカ(ベルーガ)2頭が19日、余生を過ごすためアイスランドに到着した。2頭は、開放水域を網で区切った他に類を見ない海洋保護区へと移送される。保護活動家らはこのプロジェクトを、現在飼育下に置かれている約3000頭のクジラ類を野生に返すモデルケースにしたい考えだ。

 上海にある水族館「長風海洋世界(Changfeng Ocean World)」で大勢の来館者を楽しませてきた、リトルホワイト(Little White)とリトルグレー(Little Grey)と名付けられた2頭は、特製のコンテナで空輸された。

 体重約900キロ、体長4メートルの2頭はさらにトラックとフェリーで、ベストマン(Westman)諸島のヘイマエイ(Heimaey)島にあるクレッツビク(Klettsvik)湾の同保護区に移送される。

 プロジェクトを主導する慈善団体「シーライフ・トラスト(Sea Life Trust)」は、世界で初めて開放水域に保護設備が設けられたシロイルカ保護区になるとしている。

 同団体の代表を務めるアンディ・ブール(Andy Bool)氏は、「われわれは過去1年半、リトルホワイトとリトルグレーが長旅への準備と用意を確実に整えられるよう協力してやってきた」と話した。

 長年飼育されてきた2頭は、野生下では自力で生き延びられないとみられており、3万2000平方メートル、深さ10メートルにわたって網で区切られた海域で引き続き保護を受けながら暮らすことになる。

 保護区にはビジターセンターが設けられることになっており、来訪者は小規模なグループに分かれてボートに乗り込み、2頭の姿を見ることができるという。

 現在飼育下に置かれているクジラやイルカは3000頭を超える。将来的には今回移送される2頭に加え、最大で8頭のシロイルカをこの保護区に迎えることが計画されている。(c)AFP