【6月24日 東方新報】卒業シーズンを迎えた中国の大学の熱い話題は何かと尋ねたら、「卒業論文の重複検査(コピペチェック)」と答える人が多いだろう。

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 SNS上では、卒論の「許容重複率」(注:過去の論文と重複する比率)に関して毎日のように多くの書き込みがなされている。あるメディアによると、一部の大学では卒業論文において許容される重複率は、以前の30%以下から20%に引き下げられ、学校によっては8%以下というところもあるという。もし重複率の関門をクリアできなければ、卒論の口述試験に進むことはできない。

 先ごろ、浙江大学(Zhejiang University)人文学院の楼艶(Lou Yan)副書記は記者の取材に応じ、「卒論の重複検査の目的は、学生の中で規律観念とルール意識を確立し、学生がルールを尊重し制度を守るよう教育するため」と語る。

 中国教育科学研究院(National Institute of Education Sciences)の儲朝暉(Chu Chaohui)研究員は、「論文によっては、他人の文章や観点を引用しなければならないものもある。その場合は、出典を明確にし、かつ引用が妥当であれば、学術規範に合致していると判断する。もし引用が不適当なら、たとえ重複率が10%しかなくても問題ありと判断する」と強調する。

 浙江大学教務処の劉有恃(Liu Youshi)副処長によると、重複検査を行った報告書は1つの補助的な判断ツールとして使うことは可能だが、低い重複率を唯一の卒論の検査基準としてはならないとの考えだ。

「当校は、各学部の専攻の特徴に合わせて重複率を定めている。大部分の学部は10%以下で、一部は15〜20%だ。論文内容の審査においては、結果より過程を重視し、学科の講義から始まって学位論文決定報告書、中間検査を経て論文の審査、口述、評価に至るまでの全過程での質的管理によって、学位論文の質の向上を促したい」と語る。

 教育の質の向上のためには、学生の卒業論文の審査に力を入れるだけでなく、より重要なことは学生の日常的な学業をしっかりと見ることだ。卒業前の集中的な付け焼刃ではなく、毎日の積み重ねの中で会得していくことが求められている。(c)東方新報/AFPBB News