【6月20日 AFP】米北東部ニューヨーク州の上院は19日、化石燃料をエネルギー源とする発電所やガソリン自動車を2050年までに段階的に廃止することを盛り込んだ「気候リーダーシップ・コミュニティー保護法(Climate Leadership and Community Protection Act)」案を可決した。世界の気候変動対策法と比べても特に野心的な内容。法案は下院に送られた。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は同日、石炭火力発電所からの有害物質の排出削減を定めた計画を正式に撤回した。この計画はバラク・オバマ(Barack Obama)前政権が策定したもので、野党民主党は、撤回は「大規模汚染者に対するプレゼント」だと批判している。

 ニューヨーク州の計画は、英国、フランス、スウェーデン、ニュージーランドといった国・地域に続くもの。いずれも、炭素排出量を削減・吸収量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル(炭素中立)」を2050年までに達成することを目標としているが、拘束力のある法律が成立した例は少ない。

 人口2000万人のニューヨーク州は、民主党のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)氏が知事を務め、上下両院も同党が支配している。

 新法案は、2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比(以下同)85%削減するとの目標を設定。残り15%については、再植林を含む炭素吸収策などによって差し引きの排出量をゼロにすることを認めている。

 化石燃料をエネルギー源とする火力発電所は今後30年で大半を閉鎖する必要がある。また、自動車は温室効果ガス排出量をゼロにすることが求められるため、ガソリン車とディーゼル車は実質的に道路を走れなくなる。

 このほかニューヨーク州は、2030年までに温室効果ガス削減を40%削減するとの中間目標を設定した。

 また、同州は再生可能エネルギーの分野ですでにかなりの進歩を遂げており、2040年までに州内の発電量をすべて再生可能エネルギーで賄うことも定めた。

 同州の現在のエネルギー構成比率は、原子力が28%、水力発電が16%、35%が天然ガスとなっている。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE