■「われわれは死に絶えていく」

 地元の博物館のアクラム・フセイン(Akram Hussain)館長によると、カラシュ人はかつてはカシミールのヒマラヤ山脈(Himalayas)からアフガニスタン北部に至る広大な領土に住んでいたが、今ではパキスタンで最も小規模な宗教的少数民族の一つになっている。

 フセイン氏は「支援がなければ、われわれは死に絶えていくだろう」と話す。

 同氏によれば、カラシュの伝統行事には費用がかかる。冠婚葬祭を執り行う家庭は何十頭もの動物を犠牲にする必要があるために借金がかさみ、返済のために土地や先祖代々の家を手放すことを余儀なくされている。

 また住民の一部がAFPに語ったところでは、カラシュの女性に対してイスラム教への改宗が強制的に行われたり、拡大する観光のために「ジョシ」のような伝統行事を取りやめざるをえない人々もいる。

 ブンブレット出身の考古学者サイヤド・グール(Sayed Gul)氏は、カラシュの文化が外部の力によって侵食されつつあるのは悲劇だと語る。「女性たちはこういった(観光客の)カメラ撮影や無神経さだけのために、(行事への)参加をいやがっている」と同氏。

「このようなことが続けば……おそらく数年内には観光客だけになり、祭りに参加して踊るカラシュの人々はいなくなるだろう」 (c)AFP/Joris FIORITI