目の前に広がる沢山の男の似顔絵、そしてその奥に座り込む女の人たち、中には頭を抱え、泣いているような人もいる。まるで、何かを祈り、待っているかのように。彼女たちは激しい国家間対立の中で愛する人が行方不明となり、国にその情報を求めているのだ。私たちは当たり前のように情報を検索し、ネットワークの中にその答えを求めている。しかし、彼女たちのように国に情報を求め、抗議する姿は珍しくないように感じる。それは国をはじめとして情報の影響力が大きくなってきた近年、情報の開示に慎重になっていく主体と情報化により情報の隠蔽が明らかになってきたことにあると考える。知るべき情報が当たり前のように取得できるとは限らないということを考えさせる一枚であった。例え愛する者の情報であっても。

早稲田大学 浅田 大介 情報社会セクション