【6月23日 東方新報】中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)襄陽ビルの工事現場では、四川省(Sichuan)の農村から来た出稼ぎ労働者「農民工」が主力の働き手だ。老夏さん(50)(夏おじさん)は、作業員の管理を任されている。息子の小夏さん(30)は大卒で、工事部との連絡調整役だ。

 ある日の昼過ぎ、工事部の入り口に突然10人以上の作業員が集まり大声で騒ぎ始めた。総務担当と現場責任者が対応していたが、農民工の話す言葉を全く理解できずにいた。

 工事部は老夏さんに急いで来るように電話を入れるとともに、作業員らを会議室に招き入れて落ち着かせようとした。約10分後に老夏さんがやって来ると、老夏さんの訛りも強かったものの、どうも宿舎の問題らしいということだけは理解できた。

 その後、小夏さんが駆け付けて「通訳」をしたことで、問題は作業員らが宿舎の電気コードを改造して使っていた電気製品を検査で発見され、電気製品を没収されたことが発端だったことが、ようやくわかった。お互いに言葉が通じないために、誤解が生じたらしい。

 咸寧(Xianning)の建築現場で働く徐新付(Xu Xinfu)さん(47)は、若いころから出稼ぎに出てきている。訛りが強く、教育は小学校を出ただけだったので、なかなか仕事にありつくことができず苦労したという。その後、標準語の重要性に気づき、約5年間かけて標準語を勉強して話せるようになると、仕事も見つけやすくなった。月給は当初の1000元(約1万5700円)から2000元(約3万1400円)を超えるようになったという。

 先ごろ、武漢大学(Wuhan University)の程虹(Cheng Hong)教授のチームは、「中国企業──労働力適合調査(China Employer-Employee SurveyCEES)」のデータを用い、標準語能力の出稼ぎ労働者の給与待遇に対する影響度への実証調査を行った。その結果、標準語の能力は出稼ぎ労働者の給与に対してプラスの影響を及ぼし、給与レベルは標準語レベルに伴って向上することが判明したという。(c)東方新報/AFPBB News