■ニューヨーク証券取引所から生産者を解放する方法を模索

 以前コーヒー豆を栽培していたガブリエル・オチョア(Gabriel Ochoa)さん(70)は、「木は全部切り倒してしまった。代わりにサトウキビを植えたが、後悔していない」ときっぱりと言った。

 コーヒー豆の生産者を支援する団体「カフェ・フォー・チェンジ(CAFE FOR CHANGE)」の創設者であるフェルナンド・モラレスデラクルス(Fernando Morales-de La Cruz)さんは、この業界の利益配分をより公平にするための活動を行っている。

 モラレスデラクルスさんによると、高級店では1ポンドの生豆から55杯分のコーヒーを作れるが、豆の買い取りを行うグローバル企業が生産者に支払う額はわずか90セント(約97円)だという。つまり生産者の利益は、1杯当たり1.6セント(約1.7円)ということになる。「1983年に比べると4分の1だ」とモラレスデラクルスさんは憤る。

 コロンビア政府は、コーヒー豆の価格低下による社会的影響を懸念して8000万ドル(約87億円)の支援を発表しており、またFNCは、数十年にわたり価格を決めてきたニューヨーク証券取引所から生産者を解放する方法を模索している。

 だが価格交渉は他の産地のコーヒー豆の品質によって左右される可能性があるため、中米やアフリカの生産者らと協力する必要があるという。こうした抜本的な改革には時間が必要だ。

 サントゥアリオでは、今年も10~11月に収穫期を迎える。それまでに何も変わらなければ、売りに出されるコーヒー農園はもっと増えることになる。

 映像は、コロンビア・サントゥアリオのコーヒー農園。5月9~11日撮影。(c)AFP/Lina VANEGAS