【6月16日 AFP】コロンビア西部の緑豊かな山岳地帯では最高級のコーヒー豆が栽培されているが、地元の生産者は不公正な価格にいら立ちを募らせている。コーヒー豆の価格を決めるのは、ここから遠く離れた米ニューヨーク証券取引所(NYSE)。業界に打撃を与える値崩れが起きているのは、市場最安値にまで価格を押し下げている投機家のせいだと農家は非難する。

 生産者の一人であるグスタボ・エチェベリ(Gustavo Echeverry)さん(50)は、コーヒー豆農園が集まるこの山の住民約1万5000人の多くは不満を抱いていると話す。

「フェアトレード」認証されたコーヒーとは程遠いと地元の農家は言う。フェアトレード認証を受けているコーヒーは、公正な条件の下で栽培され、農家が搾取されていないことを保証する商品として国際的に認証されている。

 サントゥアリオ(Santuario)周辺では、別の作物への切り替えを余儀なくされた生産者もいる。

 昨年は国際取引価格の暴落に加え、害虫被害による品質低下にも見舞われ、栽培者らは生産コストを下回る価格で販売せざるを得なかった。

 1袋12.5キロのコーヒー豆を生産するには22ドル(約2400円)のコストがかかるが、エチェベリさんのコーヒー豆の卸値は1袋当たり平均21ドル(約2300円)だ。

 ラモン・ヒメネス(Ramon Jimenez)さん一家も、近くのサンアントニオ(San Antonio)農園で3世代にわたりコーヒー豆を栽培しているが、孫のハビエル(Javier Jimenez)さん(19)は、「父や祖父の後継ぎとして農場を経営しようと思っていたが、こんな状況が続くようなら他の仕事に目を向けないと。米国に行く方がいいのかも」と語った。

 コロンビアは、コーヒー豆の生産量がブラジルとベトナムに次いで世界3位となっている。高品質の生豆の生産においては首位を誇る。また54万世帯がコーヒーに関わる仕事で生計を立てており、輸出に占めるコーヒー豆の割合は石油や鉱物を抜いてトップとなっている。