【6月16日 AFP】報復か自制か? 制裁強化か交渉か? ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権のイラン戦略は、新たな「終わりなき」戦争への突入を懸念するトランプ大統領と、タカ派の側近たちの間で明確な形を取れずにいる。中東オマーン湾(Gulf of Oman)のタンカー攻撃に対するあいまいな対応はその好例だ。

■舌戦か?戦争か?

 バラク・オバマ(Barack Obama)前政権で副大統領補佐官(国家安全保障問題担当)などを務め、現在はスタンフォード大学(Stanford University)に籍を置くコリン・カール(Colin Kahl)氏は、「米イラン情勢はますます危険になっている」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 米とイランが舌戦を続け緊張が高まる中、多くの観測筋と米同盟国は、事態が深刻化して開戦につながることを懸念している。

 民主党・共和党両政権で米国務省の中東分析官や交渉官などを務めたアーロン・デービッド・ミラー(Aaron David Miller)氏は、タンカー攻撃は「開戦事由として不十分」との見解を示した。

 現在は米シンクタンク、ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)の中東問題の専門家となっているミラー氏は、「この事態を受けて、トランプ政権がイランの船舶に対する直接攻撃、またはイラン本土あるいはイラク・シリア・イエメンに派遣されているイランの軍事部隊に対する攻撃を選択したとしても、全く支持は得られない」と述べた。

 トランプ氏は、アフガニスタン戦争やイラク戦争のような費用がかかる「終わりのない」新たな戦争に米軍を関わらせることはしたくないと公言し、戦争に関する自身の態度を極めて明確に示してきた。

 しかし、ジョン・ボルトン(John Bolton)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がトランプ氏よりもはるかに好戦的な立場を取っているのは周知の事実だ。マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官も、トランプ氏の抑制的な方針に従う姿勢を見せているとはいえ、対イランではタカ派とみられている。