【11月1日 CNS】「高流大山は山また山、河は見えても喉はからから、家には三椀の水も無く、粉を炒めて夕飯に」——これは中国・貴州省(Guizhou)畢節市(Bijie)七星関区(Qixingguan)生机鎮高流村で歌い継がれる地元の唄だが、かつて高流村はこの唄の通りの状況だった。

 高流村は赤水河(Chishui)上流の渓谷の上に位置する人口3272人の村だが、背後には山、正面は深い谷間、左右は断崖絶壁がそびえ立つ特殊な地形のため、古くから水不足に苦しめられ、それゆえ貧困にもあえいでいた。

 重大な水不足と貧困の解決のため、1958年に村民総出で、村の東側の絶壁に水を引くための溝を掘る工事を始めた。4年間の苦労の末、総延長5キロ、1000メートルの高さの断崖から鍾乳洞を通って水を引く用水路「高流大溝(Gaoliu Dagou)」が完成した。

 用水路の開通で村の生産用水と生活用水が確保された。新しく開墾された約1000平方メートルの水田では稲を栽培し、柑橘類の果樹園も開かれ、村民の収入が増加した。2012年には現地の水利部門が資金を投入し、この「高流大溝」をコンクリート製の頑丈なものに作り変えた。

「高流大溝」が掘られてから約60年、村民は一日も欠かさずこの用水路を保守管理してきた。用水路を掘った当時の村民の中で最も年齢が若かった単懐忠(Shan Huaizhong)さんは80代だが、体は健康で、若者を引き連れて用水路の見回りを続けている。

 単さんは「『高流大溝』は村の者みなが汗水流して獲得したもので、おかげで村の生活が日に日に良くなりました。私が一日でも動けるかぎりは、その一日を『高流大溝』の世話に使いたいです。『高流大溝』がいつまでも村のみなに幸せを運べるように」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News