【6月14日 AFP】エボラ出血熱の集団発生(アウトブレイク)は、全体の半数しか検知されないとする研究結果が13日、発表された。現在、アフリカ中部のコンゴ民主共和国ではエボラ熱の流行により多数の死者が出ており、同国東部に隣接するウガンダではエボラ熱による2人目の死者が確認された。

 感染者の体液との接触を通じて広がるエボラ熱は、熱帯に分布する最も悪性度の高い出血熱の一つで、感染から数日以内に死に至るケースも多い。

 エボラは非常にまれなウイルスで、主にアフリカ中部と西部の遠隔地に限定されているため、多くの患者が一度も診断を受けなかったり、マラリアや腸チフスなどと誤診されたりしていると、科学者らは考えている。

 エボラウイルスが発見された1976年以来、大規模な流行が少なくとも10回発生しており、より規模が小さい流行は数十回起きている。

 それぞれの局地的流行は、感染症が動物から人にうつり、その後人々の間で拡散する「スピルオーバー(spillover)」として知られる現象に起因する。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームは、2013~16年に西アフリカで発生した大規模な流行から得られた複数の独立したデータセットを基にシミュレーションを行い、エボラが地域住民に広がる前に消失し得る頻度と、実際に流行し得る頻度を予測した。

 結果は一貫して、エボラ集団発生の2回に1回は検知されない可能性が高いことを示していた。さらに、個別の医療従事者がエボラ感染の孤立した症例1件を検出する確率は10%足らずだった。

 ケンブリッジ大獣医学部のエマ・グレノン(Emma Glennon)氏は、AFPの取材に「どのくらいの頻度でスピルオーバーが起こるかを知ることは、スピルオーバーが発生する時期と原因を理解する助けとなる重要な一歩だ」と語った。

「流行の始まりを最初の段階で防ぎたいのなら、スピルオーバーの過程を理解する必要がある」