【6月13日 AFP】2020年の米国勢調査の質問項目をドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が変更し、米市民権の有無を尋ねる質問を追加することとなった経緯をめぐり、トランプ大統領は12日、米下院の監視・政府改革委員会への情報提供を阻止するため大統領特権を行使した。これに対し、民主党主導の同委員会は同日、ウィリアム・バー(William Barr)米司法長官とウィルバー・ロス(Wilbur Ross)米商務長官を「議会侮辱罪」に問う決議案を可決した。

 司法省は、下院監視・政府改革委員会のイライジャ・カミングス(Elijah Cummings)委員長への書簡で、「審議過程に関わる情報の秘匿特権、弁護士・依頼者間の秘匿特権、弁護士が収集した情報に対して行使できる秘匿特権に基づき、これらの文書は開示から保護される」と通達。「開示請求があったその他の文書」についても、見直しの時間を確保するため、トランプ大統領が「大統領特権を行使した」と伝えた。

 下院監視・政府改革委員会では、バー氏とロス氏を議会侮辱罪に問う決議案が賛成24票、反対15票で可決され、共和党議員で唯一トランプ氏の弾劾要求を公言しているジャスティン・アマッシュ(Justin Amash)下院議員も賛成票を投じた。

 カミングス委員長は、「調査を実施して米憲法で定められた責任を遂行しようとする当委員会の努力を、ロス氏とバー氏は遅延させ、白を切り、われわれの活動をおとしめた」と非難。「これは明らかに議会調査権を例外なく妨害する戦略であり、大統領の主導によるものだ。他にはどんなことが米国民に知られないよう隠されているのだろうかと、疑問を持たずにはいられない」と述べた。

 米国勢調査は10年に一度行われる。2020年の国勢調査での質問追加をめぐる問題は、米大統領選にも影響しかねない重要な争点となっており、連邦最高裁での判断が求められている。

 市民権の有無を尋ねる質問項目については、共和党と非ヒスパニック系白人に有利に働くと示唆する共和党の政策ブレーンの文書が流出したことで、トランプ政権と民主党の対立に発展した。民主党は、市民権の有無を尋ねる質問を設ければ移民の多い地域で回答者が減り、各州に割り当てられる下院議席数や連邦補助金額が減少する懸念を表明している。(c)AFP/Michael Mathe