【6月16日 Xinhua News】中国の研究者はこのほど、がん組織の画像診断を可能にし、抗がん治療も行う、化学療法薬を含まない新たなナノ診断・治療薬を開発した。

 化学療法薬はがん治療で幅広く使われているが、高価で副作用が避けられないため、臨床応用が制限されている。

 研究は中国科学院合肥物質科学研究院技術生物・農業工程研究所の呉正岩(Wu Zhengyan)研究員のプロジェクトチームと、上海交通大学医学院の鄒多宏(Zhou Duohong)教授が協力して実施。研究成果はこのほど、生体材料分野の学術誌「Biomaterials」に掲載された。

 研究者は、この化学療法薬を含まないナノ診断・治療薬はナノセレンと炭酸マンガン修飾四酸化三鉄でできており、がんの診断・治療を効果的に結び付けることが可能だと説明した。

 治療薬に含まれる炭酸マンガンは2価のマンガンイオンを放出でき、ナノセレンと共にがん細胞中のヒドロキシルラジカル形成を促進。がん細胞のアポトーシス(機能的細胞死)を誘発する他、がん細胞内でのATP(アデノシン三リン酸)生成を抑制し、がん細胞への栄養供給を遮断することで、がん細胞のアポトーシスを加速させる。

 研究者はこの診断・治療薬ががんの可視化診断や治療に新たな道を提供すると期待感を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News