【6月17日 AFP】米コロラド州ジェファーソン(Jefferson)郡学校区の教育長であるジェーソン・グラス(Jason Glass)氏は、米国で最も手を焼く教育施設の一つを担当している──コロンバイン高校(Columbine High School)だ。

 学校で起きた同国史上最悪レベルの銃乱射事件の現場となり、犠牲者数は今も過去最多水準に上るコロンバイン高校は長年、この学校区の頭痛の種となってきた。1999年に起きた事件では、同校の生徒2人がクラスメート12人と教師1人を殺害し、その後、自殺した。

 今月提出された公開書簡の中でグラス氏は、毎年、「1999年の銃乱射事件を追体験する」ためにコロンバイン高校の敷地内に立ち入ろうとする人々が後を絶たないことや、事件後、他の学校で起きた襲撃事件の多くの犯人が、同校の事件に着想を得ていたことを詳細に説明している。

 同事件から約20年となる今年、武装した女が同地区に向かっているとの通報が入り、コロンバイン高校をはじめ、多くの学校が封鎖される事態も起きた。女はその後、自殺したとみられ、遺体が発見された。

「コロンバイン高校は、この種の人物を引き寄せてきた」「そうした人々の多くは好奇心を満たすためにやって来るだけで、関心は不気味だが害はない。だが一部の人々は、危害を加えようという意図を持っている可能性がある」と、グラス氏は書簡で述べている。

 同学校区は現在、殺りく現場となった建物の多くの所有者が取ってきた解決策に倣うことを検討している。

「学校の安全性に関する専門家らは今日、銃撃事件の現場となった校舎の解体を推奨している」「コロンバイン高校に対する病的な関心は、ここ数年、薄れるどころか高まっている。私たちの地域社会でも、コロンバイン高校の現存する建物を取り壊すという選択肢を検討する時期が来たと考えている」とグラス氏は記している。

 事件後の20年間、米国の学校やその他の公共施設で警備体制を強化する取り組みが行われてきたにもかかわらず、米国ではいまだに毎年、多数の銃乱射事件が発生している。