【6月12日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄で、2017年にマレーシアで暗殺された金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏は、米中央情報局(CIA)の「情報提供者」だったとする新著が11日、発売された。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の特派員として北朝鮮報道に携わった経験があるジャーナリストのアナ・ファイフィールド(Anna Fifield)氏は、金正恩委員長の伝記「The Great Successor: The Secret Rise and Rule of Kim Jong Un」(仮訳:偉大なる後継者:秘密に包まれた金正恩の台頭と支配)の中で、正男氏がマレーシアで神経剤VXを顔に塗られて殺害される前に東南アジアでCIA要員と会っていたと記述している。

 事実上亡命生活を送っていた正男氏は暗殺される直前にCIAの「ハンドラー」(情報提供者などを管理する人物)らと面会していた可能性があるという。ファイフィールド氏は、正恩氏は権力を掌握する上で年上の正男氏をライバル視していたと指摘した。

 一方ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は同日、事情に詳しい匿名の情報筋の話として「正男氏とCIAの間にはつながりがあった」と報じた。また元米当局者の話として、正男氏が複数の国、特に中国の情報機関と接触していたのはほぼ確実だと伝えた。

 CIAと正男氏の関係について質問されたドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は「そのようなことは知らない。誰にも分からない」「そのようなことは私の指揮下ではあり得ないだろう」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY