【6月11日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は12日から14日にイランを訪問し、ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領、最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師と会談する。日本の現職首相によるイラン訪問は1978年以来で、安倍氏は同盟国である米国とイランとの間で高まる緊張の緩和を働き掛けるという極めてまれな外交的使命を担うこととなる。

 昨年ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がイラン核合意から離脱して以降、イランは米国との厳しいこう着状態に陥っている。

 米政府は対イラン制裁を再開し、ペルシャ湾(Persian Gulf)周辺に空母や戦略爆撃機などを派遣。また、日本をはじめとする同盟国にイラン産原油の禁輸を強いるなど、経済・軍事両面からイランに圧力をかけている。

 日本政府高官によると、安倍首相はイラン政府に対して要求を示したり、米政府のメッセージを伝えたりすることはなく、中立な仲裁者として日本を位置付けたい意向だという。

 その姿勢は有効かもしれないと語るのは、横須賀アジア太平洋研究会議(Yokosuka Council on Asia-Pacific Studies)で特別アドバイザーを務めるマイケル・ボーザック(Michael Bosack)氏だ。

 ボーザック氏は日本について、「仲裁者となる可能性があった他の国が負っている歴史的・宗教的な障害がない」「これまでも中東政策に関し、独自の路線を行く意思を示してきた」と指摘。

 また、「こうした要素はハメネイ師との関わりにおいて安倍氏を有利な立場に置くことになり、日本が提案する選択肢ならばイランの強硬派も事態の回避策として受容でき、『欧米』からの解決を受け入れることで生じ得る政治的影響もない」と語った。