【6月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がロシア疑惑の捜査を妨害した疑いについて、米下院司法委員会は10日、公聴会を開き、1974年にウォーターゲート(Watergate)事件により辞任したリチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領の法律顧問だったジョン・ディーン(John Dean)氏(80)が、ニクソン氏の違法行為とトランプ氏による司法妨害とされる行為には「著しい」類似点があると述べた。

 ディーン氏はトランプ氏による10件の司法妨害の可能性を列挙したロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の捜査報告書について、1974年にレオン・ジャウォースキー (Leon Jaworski)特別検察官が議会に提出し、後のニクソン氏に対する弾劾手続きと同氏辞任を導いた有名な「ロードマップ」に相当すると証言。

 ディーン氏は法律顧問だった当時、ウォーターゲート事件への捜査を中止させようと違法行為に深く関わっていたが、同事件とロシア疑惑には司法妨害に関して「著しい類似点がある」と指摘した。

 ディーン氏によると類似点の一つは、ホワイトハウス(White House)の元法律顧問で、モラー氏の捜査への主要な情報提供源となったドン・マクガーン(Don McGahn)氏がトランプ氏による司法妨害とされる行為で果たした中心的な役割だという。

 ニクソン氏は首都ワシントンのウォーターゲート・ビルにある民主党本部への侵入に自身の部下が関わっていたことをもみ消すようディーン氏に助けを求めたが、ディーン氏は訴追免除と引き換えにニクソン氏を裏切り、大統領と共に事件への関与の隠蔽(いんぺい)を画策したことを公にした。

 ディーン氏には判決で1~4年の禁錮刑が言い渡されたものの、実際には4か月で釈放され、その間もウォーターゲート事件に関与した主要な共謀者らに不利となる証拠を提供した。同氏は最近、米CNNテレビでコメンテーターを務めている。

 ディーン氏に対してはロシア疑惑の捜査を忘れようともがいているトランプ氏が怒りをあらわにしており、ツイッター(Twitter)に「不祥事を起こしたニクソン政権の顧問で、金を支払われてCNNに貢献しているジョン・ディーンを連中が連れてきたなんて信じられない。共謀も妨害もない! 民主党はできないやり直しを望んでいるだけだ!」と投稿した。(c)AFP/Paul HANDLEY