【6月10日 AFP】台湾南部・高雄(Kaohsiung)市長を務め、中国とのより緊密な関係を望む韓国瑜(Han Kuo-yu)氏(61)が、総統選の予備選の候補者となることが確定した。

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の政治家と目され、伝統的に与党・民主進歩党(民進党、DPP)の支持が強い高雄市の昨年市長選挙で予想外の勝利を収めた韓氏は、野党・国民党(KMT)が総統選の予備選の候補として10日に発表した5人のうちに含まれている。

 これまで野党候補として注目を集めてきたのは、台湾一の富豪であり、富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)を傘下に置く鴻海(ホンハイ、Hon Hai)精密工業の会長を務める郭台銘(テリー・ゴウ、Terry Gou)氏(69)だったが、韓氏の出馬が確認されたことで選挙戦の様相に変化が生じている。

 来年1月の総統選では、中国との関係が最大の争点になる見通しで、来月16日まで続く国民党の公認争いでは郭氏と韓氏の一騎打ちになるとみられている。

 現職の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統が率いる与党は、「一つの中国」原則の承認を拒否しており、台湾と中国との関係は冷え込んでいる。

 これに対し国民党は、対中関係の改善を目指しており、高い年齢層の有権者には受け入れられやすい立場をとる一方で、多くの若者の反発を招いている。

 郭氏は台湾と米中それぞれの関係においてバランスを取ると訴えているが、同氏は中国本土に巨大工場を複数持っており、利益相反が生じかねないという懸念も生まれている。(c)AFP