【6月15日 AFP】中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のかつてにぎわいを見せていたモスク(イスラム礼拝所)は、今ではコンクリートの駐車場に姿を変え、ドーム型の高い建物は跡形もなくなっている。

 新疆ではここ最近、ウイグル人をはじめとする少数派民族への圧力が強まっており、モスクが次々に取り壊され、厳重な警備が敷かれている。

 新疆南西部ホータン(Hotan)地区の駐車場の後ろにある小学校の壁には、「党のために人民を教育せよ」とのスローガンが赤い文字でくっきり書かれている。子どもたちは登校時、有刺鉄線が張り巡らされた門を通り、顔認証システムのチェックを受けなければならない。

 かつてここに立っていたモスクは「美しい建物だった」と近くの市場の露天商は語った。「人も大勢いた」

 AFPが調査したこの地域の人工衛星画像を、非営利団体「アースライズ・アライアンス(Earthrise Alliance)」が分析したところ、2017年以降、36のモスクと宗教施設が解体されるか、ドーム型の屋根や尖塔(せんとう)を撤去させられていたことが分かった。

 今も閉鎖されていないモスクに礼拝に行くには金属探知機を通らなければならず、建物内部には監視カメラも設置されている。

 弾圧を恐れて匿名で取材に応じたあるウイグル人は、「モスクにはもう行かなくなった」「恐怖を感じる」と話した。

 古代シルクロード(Silk Road)の街だったカシュガル(Kashgar)に、夜明け前の礼拝を呼び掛ける声が響き渡ることもなくなった。

 地元のウイグル人たちは5日、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」明けの祭り「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」を祝うため、中国政府の公認を受けている国内最大級のモスク「エイティガール(Id Kah)」に列をつくって静かに入っていた。建物を当局者が取り囲み、私服警官があらゆる人の動きに目を光らせていた。