■人けのないモスク

 ラマダンの断食は日の出から日没までで、日没後の礼拝は通常であればイスラム教徒にとって重要な意味を持っている。だが、イスラム教徒の安息日である金曜日の日没後、ホータン唯一のモスクに人けはなく、がらんとしていた。

 中国共産党は「宗教を実在する脅威と見なしている」と、豪ラトローブ大学(La Trobe University)で中国の公安問題を専門としているジェームズ・リーボールド(James Leibold)氏は指摘する。政府は長期的に「中国社会の世俗化」を果たそうとしているとリーボールド氏はAFPに語った。

 一方、新疆政府はAFPに対し、「宗教の自由を擁護して」おり、市民はラマダンを「法の範囲内で」祝うことができると主張した。

 当局は新疆でここ数年、相次いで攻撃が発生したことを受け、地域全体にハイテクの監視システムを導入し、ほぼすべての街角に監視カメラや警察の詰め所、検問所を設置した。政府はこれらの攻撃は、イスラム過激派や分離主義者によるものだと主張している。

 強制収容所に入れられているウイグル人とチュルク語を話す民族集団は約100万人と推定されている。中国当局は当初、強制収容所の存在を否定していたが、昨年になり、ウイグル人らに標準中国語と同国の法律を教え、宗教的な過激思想を取り除くための「職業技能教育訓練センター」を運営していると認めた。

 このようなセンターでのラマダンは、通常とは異なっていた。

 新疆政府はAFPに対し、中国の法律で禁じられているため、センターにいる間は宗教活動はできないと説明した。ただし、「週末に帰宅した時に」そうするのは自由だと強調した。

 当局はここ数年新疆で、イスラム教を含めた宗教的な伝統を公共の場で表すことを厳しく取り締まっている。AFPはこの地域で1週間取材したが、ヒジャブをかぶった女性は一人もおらず、長いひげを生やした男性もほとんど見掛けなかった。強制収容所に入れられていた経験がある人々は、イスラム教徒であることが分かる外見をしていたため拘束されたと話している。