【6月10日 AFP】香港で身柄を拘束された容疑者を中国本土に引き渡すことを可能とする「逃亡犯条例」改正案をめぐって大規模な抗議デモが行われたことをめぐり、香港行政トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は10日、同案を撤回する考えがないことを明らかにした。

 林鄭長官は改正案について記者団に対し、「越境犯罪の面で香港が国際的な義務を果たす助けとなる法制化において極めて重要な法案」と主張。

 条例改正案をめぐっては、不透明で政治色の強い中国の司法制度に人々が巻き込まれると懸念する反対派が市内で大規模なデモを行うなど激しい非難が巻き起こっているが、林鄭長官は市民の大きな反発を無視してはいないとした上、香港独自の自由が守られるために政府がすでに大幅な譲歩をしており、改正案に盛り込まれた人権保護の条項は国際水準を満たしていると指摘した。

 林鄭長官は「この極めて重要な法案に対する意見を、私も私の仲間も一切無視してはいない。私たちは大変注意深く耳を傾け、声を聴き続けている」と強調した。(c)AFP