【6月10日 AFP】19F1第7戦カナダGP(Canadian Grand Prix 2019)は9日、決勝が行われ、フェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)に5秒のペナルティーを科すというスチュワードの議論を巻き起こす裁定によって、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が優勝を飾った。これでメルセデス勢は、開幕からの連勝を7に伸ばした。

 5度の総合優勝を誇り、今季もドライバーズタイトル争いで首位に立つハミルトンは、コース上ではベッテルに次ぐ2番手でチェッカーを受けたものの、ベッテルにペナルティーが科されたことで優勝となった。

 ベッテルは48周目にコースを外れると、芝生を通ってコースに復帰。その際に追いかけていたハミルトンをウォールの方へ幅寄せした。ハミルトンはブレーキを踏んでオーバーテークを諦めたが、これがスチュワードの調査を促し、タイムペナルティーにつながった。

 ベッテルはチームラジオを通じて「どこに行けばよかったんだ? 行けるところはどこにもなかった。彼らが僕らからレースを奪った。間違った世界だ。公平じゃない」と怒りをあらわにした。

 ベッテルは2位に降格し、3位にはチームメートのシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)が入った。

 4位にメルセデスAMGのバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)、5位にレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)、6位にダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)、7位にニコ・ヒュルケンベルグ(Nico Hulkenberg)のルノー(Renault)勢が入り、8位にレッドブルのピエール・ガスリー(Pierre Gasly)、9位に地元カナダ出身、レーシングポイント(Racing Point)のランス・ストロール(Lance Stroll)、10位にトロ・ロッソ(Toro Rosso)のダニール・クビアト(Daniil Kvyat)が続いた。

 レース後、ベッテルはインタビューを拒否してチームの拠点に引き返した。チームの説得を受けて表彰式に向かったベッテルだったが、パルクフェルメに止められていたマシンの方へ歩いて行くと、ハミルトンのマシンの前に置かれていた順位を示す1位の番号札を、自身のマシンが止められるはずの何もない場所に置きかえた。

 また、表彰式ではハミルトンがしゃべろうとした際に、観客からブーイングが起きた。

 ハミルトンは「言えるのは、自分が下した判断じゃないということ。彼らが何にブーイングしているのか分からない」と語ると、それを遮ってベッテルが「ルイスにブーイングすべきじゃない。危険な状況になったのは彼の意図したところではない。だから彼にブーイングしちゃいけない。ブーイングすべき相手は判断を下した人だ」と続けた。(c)AFP