【6月9日 AFP】反米左派のニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領と野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)国会議長の対立による混乱が続く南米ベネズエラで、マドゥロ大統領は7日、2月から続いていた西部タチラ(Tachira)州の対コロンビア国境閉鎖を解除するよう指示した。同国境付近には、マドゥロ政権が国内搬入を拒んだ外国からの人道支援物資が大量に滞積している。

 米国など50か国が暫定大統領として承認したグアイド氏とマドゥロ氏との激しい対立が続く中、ベネズエラ経済は破綻状態にあり、国民は深刻な食料や医薬品、生活必需品不足にあえいでいる。

 だがマドゥロ氏は今年2月、ブラジルおよびコロンビアとの陸路国境の全面閉鎖を指示。ベネズエラ北方沖オランダ領アンティル(Antilles)の島々との船舶や航空機による交通も遮断した。グアイド氏は、食料や医薬品など海外から届いた人道支援物資の国内搬入を認めるよう求めたが、マドゥロ政権側の軍が国境の橋を封鎖して搬入を阻んできた。

 そうした中でマドゥロ氏は7日、コロンビアとの国境閉鎖解除をツイッター(Twitter)で発表。「われわれベネズエラ人は平和の民だ。断固として独立と自決権を守り抜く」と述べた。しかし、国境の要衝となっている橋の封鎖解除には触れていない。この橋は、2015年に政権側の兵士2人が襲撃された事件以降、封鎖されたままだ。(c)AFP