沈みゆくフィリピン諸島、地下水くみ上げの脅威 気候変動上回る
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【6月9日 AFP】20年以上前、フィリピン北部のシティオパリアハン(Sitio Pariahan)にメリーアン・サンホセ(Mary Ann San Jose)さんが移って来た当時は、地元の教会まで歩いて行くことができた。だが、今は泳いで行かなければならない。
その主な原因は、地下水のくみ上げの結果生じた破局的な地盤沈下だ。その多くは、人口増加と経済成長を支えている、住宅や工場、農業用の規制のない井戸によって起きている。
パリアハンのようなフィリピン北部沿岸の街や小島では絶え間ない地盤沈下により、マニラ湾(Manila Bay)の海水が内陸に流れ込んで、住民数千人が退去を余儀なくされている。その脅威は、気候変動による海面上昇よりも差し迫ったものとなっている。
住民の大半は同じ地方の別の場所へ散り散りになり、パリアハンに残った家族はわずかとなった。海水が流れ込む前には小学校やバスケットボールコート、教会などがあったが、今日残っているのは水浸しの教会と、サンホセさん家族らが住む竹でできた高床式の小屋の一群、そしてまだ沈んでいない一角に立つ数軒の家だけだ。
人工衛星の観測によると、パリアハンがあるブラカン(Bulacan)州とパンパンガ(Pampanga)州では2003年以降、毎年4~6センチの地盤沈下が起きている。一方、国連(UN)が推計する世界的な平均海面上昇速度は年間約3ミリだ。