【6月7日 AFP】2020年米大統領選に向けた民主党の最有力候補、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(76)は6日、公的資金による妊娠中絶費支援に賛同すると表明した。連邦政府の資金を中絶に用いることを禁じた「ハイド修正条項(Hyde Amendment)」を長年にわたって支持してきたバイデン氏だが、民主党の対立候補らの激しい追随を受けて、これまでの立場を一転させたとみられる。

「ハイド修正条項」は、妊娠が母体の生命を脅かす場合や、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠を除いて、公的資金から中絶費用を出すことを違法とするもので、約40年前に制定された。だが反対派は、低所得者向けの公的医療保険「メディケイド(Medicaid)」による中絶費補助も禁止対象となることから、低所得者層の女性を不当に差別していると批判。現在、民主党議員の多くが同条項の撤廃を目指している。

 一方、30年以上にわたって上院議員を務めてきたバイデン氏はカトリック教徒であり、個人的には中絶に反対の立場だ。これまで何度も同条項に賛成票を投じている。

 だがバイデン氏は6日、「女性の権利と健康の維持が、われわれが50年かけて進めてきた一つ一つの歩みに逆行するようなかたちで攻撃にさらされている」とツイッター(Twitter)に投稿。「健康の維持は権利だと私は信じる。その権利が住む場所によって左右される修正条項を、私はもはや支持できない」と、ハイド修正条項に反対の意を表明した。

 米国ではこのところ、共和党知事を持つ複数の州で中絶の権利を制限する動きが相次いでいる。バイデン氏も数日前の選挙運動では修正条項支持の姿勢に変わりはないと表明していたが、民主党の対立候補から非難の集中砲火を浴びる結果となり、これが立場を一転させた背景にあるとみられる。(c)AFP