【10月26日 東方新報】スマホの移動支払いの普及にともない、財布を持たずスマホだけ持って外出するのが多くの人の習慣になりつつある。しかし、財布を持たないときには身分証を持って出るのを忘れやすくなり、無くて困ることも起きてくる。

 問題解決の朗報となるのは、現在中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)が進めている「スマホ身分証明」だ。杭州市の公安機関では「住民身分証のインターネット証明」(略して「ネット証明」)を推進している。ネットで「全国住民身分証明発行データベース」とつなぎ、全市の公安関係の手続きすべてが「顔認証」で処理可能となる。

「ネット証明」とは、公安部第1研究所が法定身分証データとネット証明開通申請に基づいて、オンライン上に終身固定番号の「身分証副本」を設定し、それを実物の身分証と同期化させるものである。この「ネット証明」の有効期間は、実物身分証と同時に更新される。

「ネット証明」の手続きは複雑なものではない。まず本人の有効な実物の身分証を持ち、杭州市内に114か所あるインターネット認証ポイントのいずれかに出向き、開通専用設備で申請をして必要データを入力し、実物の身分証を設備に読み込ませ、顔認証を行う。同設備は、警察の大きな派出所と行政サービスセンターに設置してある。

 その後、スマホで「浙里辧(Zheliban、浙江省政務サービス網)」のアプリにアクセスし、そこに必要なデータをインプットすれば、実物の身分証と同等の法的効力を持つ「ネット証明」の手続きが完了する。

 記者も窓口の職員の指導を受けながら全ての手続きを行ってみたが、3分間以内で完了できた。

 この「ネット証明」は行政手続きの効率と利便性が優れた特徴だが、安全性も優れている。「ネット証明」を開通する時には暗証番号を設定し、使用するときにはその暗証番号をインプットしないと「ネット証明」のQRコードが出てこない。そしてさらに、信用できる認証専用設備でQRコード読み取りし、その後また顔認証を行って、確かに本人が使用するという確認がなされる。

 すなわち、「スマホ暗証番号+アプリ暗証番号+『ネット証明』の暗証番号+顔認証」という四重安全体制で他人の盗用を完全に防止することができるとしている。(c)東方新報/AFPBB News