【6月10日 Xinhua News】中国の交雑水稲(ハイブリッド米)の父と呼ばれる袁隆平(Yuan Longping)氏の研究チームは2018年から新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠周辺で、アルカリ土壌に強い「海水稲」を栽培する「ゴビ砂漠に耕地を求める」プロジェクトの試験田づくりを進めており、今年試験栽培の規模を拡大した。3日、今年の稲の苗がしっかりと根を下ろしたことが確認された。タクラマカン砂漠周辺には大量のアルカリ土壌が広がっており、これまで農業生産に使えなかった。

 海水稲試験田はタクラマカン砂漠西端にあるヨプルガ(岳普湖)県バヤワト(巴依阿瓦提)郷に位置しており、試験栽培面積は20ヘクタール。田植えは機械が使われた。研究チーム新疆エリアの責任者、曹志順(Cao Zhishun)氏は次のように指摘した。試験栽培している土地の塩分濃度は17‰前後に上り、pH水素イオン指数は8.0を超え、重度アルカリ土壌に属しているが、「海水稲には土壤を改善し、アルカリ度を低減する效果があり、3年から5年でこのアルカリ土壌は素晴らしい田畑に改良されるだろう」。

 「試験田のあるところはかつて一面のゴビ砂漠だった」。バヤワト郷のアリムジャン郷長はこう話し、次のように説明した。山東省の新疆支援指揮部との協力の下、同研究チームは今年2度目の栽培試験を進め、昨年は約5.3ヘクタールの土地で試験栽培を行った。地元の農民は試験栽培の効果を見て、今年は規模を20ヘクタールに拡大した。「われわれの郷にはアルカリ土壌が1000ヘクタールあり、まったく農業に使えないが、人々は海水稲が荒地を良田に変えると聞いてとても期待している」。

 曹氏は次のように述べた。2018年、ヨプルガ県の試験田では1ムー(15分の1ヘクタール)当たり収量549キロを達成し、初歩的な成功を収めた。「われわれのチームが設定した国内のアルカリ土壌での海水稲の収量の『合格ライン』は1ムー当たり200キロで、549キロという成果は予想を大きく上回るものだった。これはこの地のアルカリ土壌に大きな開発のポテンシャルがあることを意味している」。新疆にはアルカリ土壌が多く、さまざまなレベルの塩害を受けている耕地が約133万ヘクタールあり、自治区の耕地全体の30%を占めている。海水稲によって新疆のアルカリ土壌を改善することの価値は極めて大きく、非常に大きな将来性がある。(c)Xinhua News/AFPBB News