【6月6日 AFP】侵略的外来種は在来の生物種を直接捕食しない場合でも、環境を劇的に変化させて絶滅を引き起こす可能性があるとする最新の研究論文が、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。生息環境が改変されることの危険性を浮き彫りにする研究結果だ。

 辺境の列島に生息するトカゲを6年間にわたり調査した結果、捕食者の出現により、かつては争うことなく共存していた生物種が捕食者を恐れて共通の避難場所に群集することで種間競争が起き、破滅的な結果に陥る可能性があることが明らかになった。

 食物連鎖の下位の動物を餌とする捕食者は、特定の被食者による生息環境の独占を防ぐことで、生態的多様性を促進するとする説が長く支持されているが、今回の研究はこれに異を唱えている。

 論文の主執筆者で、米プリンストン大学(Princeton University)のロバート・プリングル(Robert Pringle)准教授(生態学・進化生物学)は「今回の研究結果は、従来の通説を一部書き換える必要があることを示唆している」と話す。

「予想外の間接的影響について考慮する必要がある。絶滅の危険性が最も高い生物種は必ずしも、捕食される危険性が最も高い生物種であるとは限らない」と、プリングル准教授はAFPの取材に語った。