【6月6日 AFP】米・メキシコ国境で先月、米当局により身柄を拘束されたり、入国を阻止されたりした移民の数が、前月比で32%増の14万4000人余りに上ったことが、5日に発表された公式統計により明らかになった。米国には難民申請を目指す中米諸国の人々が殺到している。

 米税関・国境警備局(CBP)によると、移民の大半はグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの出身者で、うち5万7718人は子どもだった。

 5月に拘束された移民の数は前年同期比で3倍近く増加しており、移民が急増している現状が浮き彫りになった。移民の増加は、国境警備当局の業務を圧迫しているほか、米・メキシコ関係に深刻な危機をもたらしており、米政府はメキシコが移民の流入を助長していると非難している。

 米税関・国境警備局のジョン・サンダース(John Sanders)長官代行は「われわれは完全な緊急事態にある。システムは崩壊している」と語った。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はメキシコに対し、移民の米国境到達を阻止する措置を講じなければ、メキシコからの輸入品に対し今月10日から高い関税を課すと警告。マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領は間もなく、メキシコ政府高官らと会談し、この問題について協議する予定だ。

 当局によると、入国に必要な書類を持たずに米国境に達した移民の数は2006年以降で最多となっており、今会計年度が始まってからの8か月間で67万7000人を記録。こうした移民は2006年には単身のメキシコ人男性が多かったが、現在は中米諸国出身の家族連れが主となっている。(c)AFP