■空気で膨らむ戦車

「偽ニュース」は現代の現象と思われがちだが、英国はDデーに関連し「フォーティテュード作戦(Operation Fortitude)」と名付けられた欺瞞(ぎまん)作戦を展開した。ドイツに、連合軍が攻撃を計画しているのはノルマンディーではなくスカンディナビア(Scandinavia)やフランスのカレー(Calais)だと思い込ませるのが狙いだった。

 カレーに面する英海岸に空気注入式の戦車が配置された。また、ドイツ軍のレーダーに大規模部隊がカレー付近へ向かっているよう見せ掛けるため金属製のおとりも使用された。さらにドイツ情報機関に偽の無線交信を漏えいした。

 6月6日のDデー後でさえドイツは、第2の攻撃はカレー付近で計画されていると信じていたが、最終的にはアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)もノルマンディーの前線に兵を送るよう命じた。

■米先住民の「コードトーカー」

 上陸作戦実行中の暗号の作成と解読は時間がかかり過ぎる上、英語が分かるドイツ人に暗号を盗聴されたら解読される恐れもある。そのため、米軍は独自の言葉を使う米先住民、特にコマンチ(Comanche)の人々を「コードトーカー(暗号話者)」として利用した。

 コードトーカーだったシモンズ・パーカー(Simmons Parker)さんの息子、ジョン・パーカー(John Parker)さんは、「爆撃機」は「妊娠した鳥」と訳されていたことを覚えている。シモンズさんはまた、「狂った白人」というコマンチの言葉はヒトラーを指すと教えられたと言う。

■上陸したのはインドネシア…?

 英郵便事業会社ロイヤルメール(Royal Mail)は昨年12月、Dデーの75周年記念切手を発売したが、切手の写真が当時オランダ領ニューギニア(Dutch New Guinea)だったインドネシアに上陸する米軍部隊だったことが判明し、謝罪した。(c)AFP/Loic VENNIN