【6月4日 AFP】インド第2の高峰ナンダ・デビ(Nanda Devi)で死亡したとみられる登山家8人について、同国当局者は4日、8人が許可なく登山計画を変更し、「承知の上で命の危険を冒した」とみられると明かした。

【写真】登頂を目指す人々で「渋滞」するエベレスト「死のゾーン」

 亡くなったとみられるのは英国人4人、米国人2人、オーストラリア人1人、インド人1人で、グループを率いるのは経験豊富な英国人登山家のマーティン・モラン(Martin Moran)氏。

 大規模な捜索活動に加わっていた軍のヘリコプターが3日、山中で5人の遺体を発見した。

 ある地元判事の話では、3日に上空から撮影された写真に遺体が写っており、4人は1か所に集まり、1人は雪崩に見舞われた尾根から少し離れた場所で雪に埋まった状態で横たわっていた。さらに3人の遺体も、付近にあるとみられているという。

 一行は先月、ナンダ・デビ東峰への登山許可を取得。しかし第2ベースキャンプ到着後の先月22日になって、モラン氏の登山会社がフェイスブック(Facebook)上で、標高6477メートルの「未踏峰」を目指す計画を発表していた。

 地元ウッタラカンド(Uttarakhand)州の当局者は匿名で、「この一帯はエベレスト(Mount Everest)よりも登るのが難しい。一行は当局に知らせず計画を変更し、承知の上で自らの命の危険を冒した」と述べた。

「登山許可が出ていたのはナンダ・デビ東峰で、ルートから外れれば違法になる。変更後の計画について、われわれは一切承知しておらず、結果的に命取りになった」と指摘した。

 地元登山会社の関係者は、モラン氏は登山経験が非常に豊富で、同域の登山も初めてではなかったとして、同氏のような「一流の登山家がミスを犯したのはかなりの驚きだ」と語っている。

 インドにはヒマラヤ山系の登山を目指し、世界中から大勢の登山家が訪れる。中でもナンダ・デビの各峰は最難関と目されている。(c)AFP