■宗教指導者から批判も

 同国の人口4000万人の大半はシーア派信者だが、急増する若者世代の間では現代的な欧米化社会への志向が高まっている。

 ラッパーのカラール・ベデリ(Karrar al-Bederi)氏は、折衷型の礼拝が必要なのはまさにそのせいだと指摘し、「若者が宗教や道徳規範から目を背けるようになったのは、時代に逆行している古典的な聖職者たちのせいだ」と語った。

 ベデリ氏や仲間のイスラム教信者らは、通常「侵略者」の米国と関連付けられるラップを利用して、宗教に重点を置いた礼拝スタイルを編み出した。現代的なラトミヤがインターネット上で数万人に視聴され、ソーシャルメディア上のスターとなったラッパーたちもいる。

 だが大勢の人を驚嘆させた彼らのラップだが、イラク南部では、伝統的な礼拝の形が大きくゆがめられたことに衝撃を受けた聖職者らの怒りを招いた。

 シーア派のラティフ・アミディ(Latif al-Amidi)師は、「最近起こった逸脱した宗教運動は、若者らの宗教的知識が浅いことを利用して、宗教とは何ら関係のないものをイスラム世界に導入しようとしている」とAFPに語っている。(c)AFP/Haydar Hamdani