【6月3日 AFP】中国の国営紙「環球時報(Global Times)」は3日、中国の民主化運動を当局が武力弾圧した天安門(Tiananmen)事件から今月4日で30年を迎えるにあたり、当時の政府の対応を擁護し、事件は中国に政治的な混乱に対する「免疫力」を与えたとの見解を示した。同国で天安門事件に関する論説が発表されるのは非常にまれ。

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 1989年6月4日、中国の首都北京の天安門広場(Tiananmen Square)では、民主化を求めるデモに対し、鎮圧のために軍部隊と戦車が展開。数百人、一説には推定1000人超の市民が殺害された。

 中国共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)の傘下にある環球時報は英語版で、「6月4日は政治的混乱に対する免疫力を中国に与えた」と題した論説を掲載。政府によるこの「出来事」への対応を称賛し、「天安門での出来事は、中国社会のためにワクチンとして将来、どんな政治的動揺にも中国が対処できる免疫力を大幅に増大させる」と主張した。

 これに先立ち、魏鳳和(ウェイ・フォンホー、Wei Fenghe)国務委員兼国防相は2日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、天安門事件での流血を伴った弾圧について「正しい政策」だったと擁護。環球時報による今回の論説は、この発言に同調するものとなった。(c)AFP