【6月9日 東方新報】中国で近ごろ、インターネットを通じて「無錫市(Wuxi)新光幼稚園反社会的勢力調査票」の画像が拡散された。画像によると、35人の園児が調査の対象者となり、調査票には「当クラスの35人の園児に対する調査の結果、園児が反社会的勢力に参加している状況は認められなかった」と書かれていた。

 無錫市共産党委員会宣伝部は、「これらの状況は実際にあった。しかし、情報伝達のやり方に間違いがあった」とコメントしている。市側は、あくまでも園内のいじめを途絶することが主旨であり、市教育局はすでに幼稚園側に対し改善命令を出したとしている。

 調査票は、市の公式見解によると本物の調査票だ。だとすれば、笑い話にしては笑えない、行き過ぎたブラックユーモアだ。

 単なる情報伝達のミスだったかもしれないが、「幼稚園反社会的勢力対策調査票」と印刷された書類が、誤った相手に配布されたとして、それを受け取った人が「園児らは反社会的勢力に参加していなかった」と書いたとすれば、どういう神経の持ち主なのだろうか。

 問われなければならないのは、情報を伝達した側と、その情報を受けた側の両方が、なぜ、同じような間違いを犯したのか、だ。

 幼稚園のいじめ問題と、反社会的勢力という全く異なる社会現象を混然一体として語るとは、国語力に問題があるか、基本的な生活常識が欠如していると言わざるを得ない。

 少し前になるが、貴陽市(Guiyang)のある幼稚園に「反社会的勢力になる芽は、早いうちに摘み取ろう」のスローガンが掲げられ、ネットユーザーから「反社会的勢力との戦いは園児からやるのか」と皮肉られたことがあった。

 また、ある地方では、一人暮らしの高齢者や墓を移動しない人を、反社会的勢力の調査対象とする理不尽な行為が話題となったこともあった。これらは成人が対象だったが、今や、幼稚園児も反社会的勢力の部類に入れてしまおうというのか。ひょっとすると、地方によっては反社会的勢力への対策が拡大化し、でたらめなレベルまで広がっているのかもしれない。この類のブラックユーモアが、これ以上出現しないよう望みたい。(c)東方新報/AFPBB News