【6月3日 AFP】現在開催中の全仏オープンテニス(French Open)は最終セットのタイブレークを導入していない唯一の四大大会(グランドスラム)となっているが、試合がマラソンマッチになることを防ぐために全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)やウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)に追随することは検討していないと主催者は話している。

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 現在はすべてのグランドスラムが、最終セットで異なるシステムを採用している。

 全仏オープンでは、片方の選手が2ゲーム差をつけるまで続ける「アドバンテージ・セット」が使われているが、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)では通常の7ポイント先取のタイブレーク、全豪オープンでは10ポイント先取のタイブレーク、そしてウィンブルドンではゲームカウントが12オールで並んだ時に限り通常のタイブレークで勝敗をつけることになっている。

 全米オープンは1970年から一貫して最終セットのタイブレーク制を用いているが、全豪オープンとウィンブルドンは長時間に及ぶ試合に対応するため、ルールこそ違えど今年から新フォーマットを導入している。

 ウィンブルドンは選手と専門家による長期間の話し合いに加え、「20年にわたる統計」を考慮してルールの変更を決断したと述べているが、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)で過去に6時間を超えた試合は、2004年のファブリス・サントロ(Fabrice Santoro)対アルノー・クレマン(Arnaud Clement)の地元対決しかなく、全仏はウィンブルドンよりも終わりの見えない試合が少ないように思える。

 全仏オープンの大会ディレクターを務めるギー・フォルジェ(Guy Forget)氏は「ウィンブルドンは、(ニコラ・)マウー(Nicolas Mahut、フランス)対(ジョン・)イズナー(John Isner、米国)戦(テニス史上最長の一戦。試合はイズナーが最終セットを70-68で制した)のように信じられないほど長い試合を理由にタイブレークの導入を決めた」とした上で、以下のように続けた。

「少し長い試合はあったかもしれないが、歴史的にローラン・ギャロスでそうしたことは一度も起きていない」「将来ああいった試合が起きた場合は、他のグランドスラムに近い対応を取る可能性はある」

 またフォルジェ氏は「異なるフォーマットの間で、分かりやすさや統一性に欠けるのは残念にも思える」としながらも、現時点でシステムの変更は「全く」検討していないと付け加えた。

 全仏オープンはしばしば他のグランドスラムに後れを取っているが、近年は賞金の増額をはじめ、来年にはセンターコートのコート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)に屋根が取り付けられるなど、流れに適応し始めている。(c)AFP/Elodie SOINARD