【6月3日 AFP】第2回米朝首脳会談が物別れに終わった後に粛清されたと報じられた北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル、Kim Yong Chol)朝鮮労働党副委員長について、北朝鮮の国営メディアは3日、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長らとともに2日夜の芸術公演を鑑賞したと伝えた。

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 英哲氏は、2月にベトナムの首都ハノイで行われた第2回米朝会談を前に、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官と核開発問題をめぐる交渉に臨んだ人物。韓国の朝鮮日報(Chosun Ilbo)は先月31日、英哲氏が会談を決裂させたとして強制労働施設に送られたと報じていた。

 しかし、朝鮮中央通信(KCNA)によると英哲氏は2日夜、正恩氏や李雪主(リ・ソルジュ、Ri Sol-Ju)夫人、朝鮮労働党や軍の高官らとともに、軍人の「妻たちによるアマチュア芸術サークルの公演」を鑑賞したという。

 また、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞(Rodong Sinmun)」は、英哲氏が正恩氏から5人目の席に座り、両手で顔を覆っている写真を掲載した。

 韓国議会の情報委員会は4月、国政の最高機関である国務委員会の委員に選出されたばかりの英哲氏が、米朝会談での対応をめぐり処分されたと発表していた。

 だが、KCNAが伝えた公演鑑賞者の名簿には、英哲氏の名前が確認できる。

 一方、米朝会談の事前交渉で「米国側に取り込まれ」「最高指導者を裏切った」として銃殺されたと朝鮮日報が報じた金革哲(キム・ヒョクチョル、Kim Hyok Chol)国務委員会対米特別代表の名前は、名簿に記載がなかった。

 韓国メディアが報じた北朝鮮高官の処分や処刑の情報が、後に誤りだったと判明した事例はこれまでにも幾度かある。(c)AFP