【6月17日 AFP】中国南部で営業職に就いていたルー・キー(Lu Qi)さん(24)は、単調な仕事に嫌気がさして辞職し、映画界で一旗揚げようとの希望を胸に北へ数千キロ離れた同国最大級の映画村にやって来た。

 横店影視城(Hengdian World Studios)では、ルーさんのような夢の実現を目指す数千人が、エキストラとして不安定な生活を送りながら何とか暮らしている。

 映画ファンが現実逃避に映画を利用するように、6000人を超える同撮影所のエキストラ集団も現実逃避に映画を利用している。

 頭をそりあげたルーさんは「ここにいる大半の人には、学歴も技能もコネもない。他に何の仕事もできないから、外の現実と競争を逃れてここにいるだけだ」と語る。

 同国東部の浙江省(Zhejiang)にある横店は、起伏の激しい丘陵に位置するかつては貧しい街だった。だが1990年代半ばに投資会社の横店集団(Hengdian Group)が映画産業に進出し、今では世界最大の映画・テレビ撮影拠点を名乗るまでになった。

 地元メディアによると、時に「東洋のハリウッド」あるいは単に「チャイナウッド」と称されるこの映画村の約3.3平方キロメートルの敷地内では、中国の映画とテレビ番組の70%以上の少なくとも一部が撮影されている。