【6月2日 AFP】昨年11月の米中間選挙に29歳で当選し、史上最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)氏が5月31日、ニューヨーク市のレストランでかつてのように再びエプロンを身につけ、客の注文を受けてドリンクを作るなど接客にいそしんだ。最低賃金の引き上げをアピールする運動の一環だ。

 社会主義者を自称し、米政界に新星として躍り出たオカシオコルテス氏はニューヨーク生まれ。昨年政界入りするまでは、地元マンハッタン(Manhattan)のレストランでバーテンダー兼ウエートレスとして働いていた。この日は自身の選挙区クイーンズ(Queens)にあるレストランを訪れ、客から注文を取ったり、シェーカーを振ってカクテルを作ったりするなど、1時間ほどバーテンダー兼ウエートレスに徹した。その後、「もう感覚を忘れちゃったかもと不安だったけど、大丈夫だった! 体は一度覚えたことを忘れてなかった」とツイッター(Twitter)に投稿している。

 サービス業従事者の最低賃金を時給15ドル(約1600円)とするよう政府に求める「One Fair Wage(適正賃金は一つ)」運動を推進しているオカシオコルテス氏は、「連邦法はチップ制労働者の最低賃金を時給2.13ドル(約230円)としている。こんなものは容認できない。どんな仕事だろうと、時給が2.13ドルしか支払われないのでは仕事とは言えない。それは奴隷労働だ」とバーカウンターの中から訴えた。

 オカシオコルテス氏は昨年、英紙ガーディアン(Guardian)とのインタビューで、政界入りする前は実家が差し押さえの危機にあり、バーテンダー兼ウエートレスとして18時間のシフト勤務で働いていたと明かしている。

 オカシオコルテス氏は、米中間選挙に向けた昨年6月のニューヨーク州民主党公認候補の予備選当初から特権階級とは無縁な経歴を利用し、下院議員11期目を目指していた民主党の重鎮に勝利。全くの無名候補者から、一夜にして米東部の人気者となった。その後はファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」に取り上げられ、トーク番組にもゲスト出演。スター並みの知名度を生かし、全米を飛び回って反体制派候補らの応援に駆け付けてもいる。(c)AFP