【6月1日 AFP】朝鮮半島を分断する非武装地帯(DMZ)沿いに配置された韓国軍部隊が、核武装する北朝鮮からの新たな脅威に直面し、厳戒態勢を敷いている。その脅威とは、アフリカ豚コレラに感染したイノシシの侵入だ。

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 アフリカ豚コレラは中国、ベトナム、モンゴルで流行しており、北朝鮮へと広がりをみせている。

 さらに、感染した動物が軍事境界線を越えて韓国側に侵入し、59億ドル(約6400億円)規模という同国の養豚業に打撃を与えるとの懸念が高まっている。

 韓国の李洛淵(イ・ナギョン、Lee Nak-Yon)首相は先月末、南北を隔てるDMZ付近の養豚場を視察し、「北朝鮮からわれわれの領域へのイノシシの流入阻止に、重点的に取り組む」と述べた。

 アフリカ豚コレラは、ヒトに対しては無害とされているが、豚やイノシシが感染した場合には致命的な影響を与える。世界最大の豚肉消費国である中国では、当局が豚数十万頭の殺処分を命じるなど、豚の供給網が大打撃を受けている。

 韓国の農林畜産食品省によると、北朝鮮政府は国際獣疫事務局(World Organisation for Animal Health)に対し、対中国国境付近の養豚場で飼育されていた99頭のうち、77頭がアフリカ豚コレラに感染して死んだと報告したという。(c)AFP