【6月8日 Xinhua News】中国西部の舌と唇をしびれさせる香辛料が今、海外の飲食店で人気を集めている。この動きに目を付けた四川商人、周易雨(Zhou Yiyu)さんは、この神秘の香辛料「花椒(かしょう)」を日本で栽培しようと決心した。

 周さんは「花椒は日本ではまだ流行し始めたばかり。花椒の味はやみつきになるだろう」と期待した。

 4年前、大阪で農業事業の実地調査をしていた周さんは、ある中国料理店で偶然、花椒の商機に気づいた。周さんは当時、花椒の味が良くないと店主に不満を伝えた。「私が四川人とわかると、店主は青花椒を届けてくれないかと頼んできた」。その後、周さんが届けた青花椒を店の人が料理に使ってみると大変好評だったという。

 四川省(Sichuan)は中国で最も長い花椒栽培の歴史を持つ地域の一つであり、花椒を「四川料理の魂」と呼ぶ人もいる。色で種類が分けられ、市場では赤花椒(カホクザンショウ、Z.bungeanum)と青花椒(フユザンショウ、Z.armatum)の2種類が流通しており、中でも青花椒はここ数年、流行し始めた品種となっている。

 しかし、四川花椒の海外進出はそう簡単ではなかった。四川農業大学食品学院の蒲彪(Pu Biao)教授は「日本や欧米は輸入農産品に厳格な品質要件を設けており、中国産の花椒は制限されやすい」と説明する。

 それこそが周さんが日本で花椒栽培を決めた重要な理由だった。「中国で生産すると日本の輸入基準を満たすのが難しくなる。それならいっそのこと日本で栽培しようと考えた」

 周さんと提携パートナーは日本の山口県や大阪府泉佐野市で合計500ムー(約33ヘクタール)の農地を借り、四川省原産の青花椒の栽培を開始した。周さんは毎月10日以上日本に滞在し、日本の農業技術を研究しながら、地元の農家に外来品種である青花椒の栽培法を教えている。

 業界関係者は、現在中国国内の花椒市場はすでに飽和状態に近づいており、輸出拡大と派生商品の開発・販売促進に活路が見いだせると指摘。海外に出て進んだ農業技術を学び、市場ニーズを把握し、最終的に輸出につなげるのは有効な方法であるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News