【6月1日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は先月31日、国内にある空港の名前を改称する大統領令に署名した。

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 ロシアでは昨秋、同国各地にある空港約40か所の改名のため、オンライン上で国民に対し、候補となる有名人の名前を募るとともに、人気投票を行っていた。

 これまで国内の空港名はほぼ全て、村の名前など、地理的な名称が用いられていた。

 ロシアのモスクワ市内にあるシェレメチェボ空港(Sheremetyevo Airport)は、「エフゲニー・オネーギン(Eugene Onegin)」など機知に富んだ作品で知られる国民的詩人アレクサンドル・プーシキン(Alexander Pushkin)の名前が採用された。

 極東に位置するサハリン(Sakhalin)島のユジノサハリンスク(Yuzhno-Sakhalinsk)にある空港は、作家のアントン・チェーホフ(Anton Chekhov)の名前が取られることになった。

 ただチェーホフがサハリン島を訪れたのは、帝政時代における刑務所の過酷な状況について執筆するためだけだったとされる。

 かつてのプロイセン領で、現在はロシアの飛び地であるカリーニングラード(Kaliningrad)の空港をめぐっては騒動が発生。

 旧称ケーニヒスベルク(Koenigsberg)で1724年に生まれ、1804年に亡くなるまでこの地をほとんど離れなかったドイツの哲学者イマヌエル・カント(Immanuel Kant)に、地元の人々が賛成票を投じたものの、愛国心を欠いているとの批判を招き、結局は女帝エリザベータ・ペトロブナ(Elizabeth Petrovna)の名前が採用されることになった。

 この女帝の軍隊は1758年にカリーニングラードを占領。ただ5年後には同地を放棄している。

 シベリア地方の都市クラスノヤルスク(Krasnoyarsk)にある空港は、同地を出生地とし、脳腫瘍により2017年に55歳で死去したオペラ歌手のディミトリー・ホロストフスキー(Dmitri Hvorostovsky)の名前が付けられた。

 他の都市は、北部の都市ムルマンスク(Murmansk)の空港が帝政ロシア最後の皇帝ニコライ2世(Nicholas II)の名前に改名されるなど、歴代の皇帝にちなんだものが多い。

 大統領令は先月31日に施行された。ただ新たな空港名の正しい英語表記については明らかになっていない。(c)AFP