【6月1日 AFP】フランス当局は欧州最高峰モンブラン(Mont Blanc、標高4810メートル)での混雑による危険に対処するため、今月1日から、山小屋に宿泊予約をせずに登山することを禁止する措置を取った。規制は、登山シーズンが終わる9月まで行われる。

【おすすめコラム】「世界の屋根」を取り巻く保険金詐欺、エベレスト

 アルプス(Alps)山脈のモンブランには、毎年2万5000人近くの登山者が訪れるが、連日の混雑により、場所の奪い合いで登山チームは殺気立ち、違法キャンプも横行している。

 これを受けて当局は1日から、「ロイヤルルート(Royal Route)」として知られる標準ルートで山頂を目指す登山者を対象に、登山中に1泊する場合には山腹にある宿泊施設3か所のいずれかへの予約を義務付けた。登山者の大半は多くの場合、登頂までに1泊する。

 地元政府当局によると、標準ルートの途中でキャンプ泊をした登山者には、禁錮2年と罰金30万ユーロ(約3600万円)が科される可能性がある。

 先月31日には、スロバキア人登山者(25)が標高約250メートルの標準ルートのスタート地点から転落死した。

 昨年の登山シーズンには15人が死亡し、当局は7月、混雑と落石を懸念して最も人気のある標準ルートの登山制限に乗り出した。

 先月24日には、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)で新たに4人が死亡したとの報道があった。うち2人は標高8000メートル以上の通称「死のゾーン」が登山者で混雑していることが原因で死亡したとされ、今回のモンブランでの規制はこれを受けたもの。

 エベレストでは1週間で8人が命を落としており、安全より利益が優先されているとの懸念が強まっている。(c)AFP