【6月1日 AFP】米国土安全保障省は5月31日、テキサス州エルパソ(El Paso)の移民収容施設が定員の5倍以上という「危険な超過密状態」にあると警鐘を鳴らす報告書を発表した。移民だけではなく、米税関・国境警備局(CBP)職員の健康と安全も脅かされ、退職者が急増しているという。

 メキシコから米国に入国する移民は1か月当たり10万人を超え、CBPのエルパソ地区にも過去最大級の移民の流入が起きている。

 国土安全保障省監察総監室の報告書によると、エルパソの移民収容施設では先月、定員35人の部屋に155人、定員8人の部屋に41人が収容されていたケースもあった。

 毎月数千人の不法移民の手続きを行う同施設では、スペースが限られているため、感染症にかかった被収容者の隔離が困難になっているという。スペースを確保するため部屋のトイレにも数人の被収容者が立っている状況にあり、トイレの利用が制限されているケースもあったと報告書は述べている。収容された移民が数日間、場合によっては数週間、「座る場所さえないような状況」で手続きを待つこともあるという。

 移民のスーツケースやバックパックなどの荷物は没収・廃棄されている。泥だらけでぬれていて、「バイオハザード(生物災害)」をもたらす恐れのある昆虫が紛れ込んでいる可能性もあるからだ。

 状況が極めて深刻なためにCBP職員の士気も低下。多数の職員が、感染症や暴動への不安を訴えている。CBPの現場管理者によると、被収容者の間で緊張が高まり、暴動に発展する可能性も懸念されている。

 食事の配膳や医療の提供、清掃のため、職員は大勢の男性被収容者がすし詰めになった部屋に入らなければならないため、退職・転職する職員が急増しているという。(c)AFP