【5月31日 AFP】イランと米国の対立が深刻化するなか、サウジアラビア西部のイスラム教聖地メッカ(Mecca)で30日、アラブ諸国による緊急の首脳会談が開かれた。サウジアラビアのサルマン国王(King Salman)は今月起きたアラブ首長国連邦(UAE)沖での石油タンカーへの攻撃や石油パイプラインへの攻撃について、イランによる「犯罪行為」だと強い口調で非難し、イランに対抗するようアラブ諸国に団結を呼び掛けた。

 今月中旬にサウジアラビア籍石油タンカー2隻を含む船舶4隻が攻撃を受けた事態をめぐっては、ジョン・ボルトン(John Bolton)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は背後にイランがいることは「ほぼ確実」と指摘。

 イラン側はこれを否定しているが、米国は中東に空母やB52戦略爆撃機、兵士1500人を派遣するなどしており、両国の軍事的緊張が高まっている。

 一方、イランが支援するイエメンの反政府武装組織フーシ派(Huthi)はサウジアラビアの石油パイプラインをドローンで攻撃し、一時的に石油パイプラインの操業が停止に追い込まれた。

 30日の緊急首脳会談にはアラブ諸国と断交中のカタールのアブドラ・ビン・ナセル・ビン・ハリファ・サーニ(Abdullah bin Nasser bin Khalifa al-Thani)首相、クウェート首長、アブダビ皇太子、サウジアラビアの事実上の指導者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)らが出席。

 サルマン国王は各首脳の前で、「イラン政権による中東諸国への干渉、核・ミサイル開発、自由な国際海運への威嚇は世界の石油供給に対する脅威だ」と指摘し、「(イランの)ここ最近の犯罪行為に対しては、湾岸協力会議(GCC)の安全保障維持のため、われわれすべてが真剣に取り組む必要がある」と強調した。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi